読書

スマホを落としただけなのに 志駕晃 読書感想文

書籍名スマホを落としただけなのに
著者志駕晃
出版日2017年4月20日
出版社宝島社



 

どんな本!?

『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作品で、映画化されております。
累計50万部突破しております。

題名の通り、スマホを落とした人物とその彼女、そして落とし主との奇妙な関係が物語になっていきます。
スマートフォンとは、現代を生きる皆様にとってどのような存在でしょうか?

手帳、クレジットカード、キャッシュカード、現金、家の鍵、車の鍵などなど、なくしては困るもの代表といえばこれくらいですが、今やスマートフォンはその中でも優先度は高いですね。

上記したものたちもそうですが、とても大事な物だけどなくした経験がない人はいないのじゃないでしょうか?そういう意味では、どこにでもありそうな日常のような入りから物語は始まります。
どこにでも居そうな人、誰にでも起こりそうな事、日常の風景・・・あまりにも変哲が無くて、いかに物語が展開されるのか。

少しづつ、ほんの少しづつですが、登場人物に違和感を覚えます。ちょっと変わった人だなぁくらいですが。
私は、何の予備情報も持ち合わせずに読みましたから、ラブストーリーが始まるのか?どんな展開になるのか?

筆者はどんな人!?

志駕晃さんのウィキペディアを見てもらうほうが早いのですが、テレビ番組のプロデューサーを本職とされています。48歳のときより執筆活動を始め、本作が4作目となり、大ヒットしました。
現代の小説は、物書きのプロでない方の作品も多く世に出るようになってきました。テレビ番組のプロデューサーさんが物書きのプロなのかそうでないのかは分かりませんが、良い意味で玄人さを感じさせない文章になっていました。

デジタルコンテンツ局デジタルソリューション部長や、社長を務めるスマートフォンアプリケーションソフト開発企業である株式会社トーンコネクトの取締役に名を連ねていますので、本作のメインテーマであるスマートフォンの特性も分かりやすく書き出しているのだと思います。

読みやすい本

物書きのプロが書いた文学作品は、それは名作も多く、深く、面白く、美しい文章で飾られています。
私も、ブログで文章を書いていますが、物書きのプロが書いた小説を読むと「自分には絶対に真似が出来ない」と思わせる言い回しばかりが出てきます。
それに対し、近年の小説は、そのような言い回しが無いものが増えてきています。

前者は、文章を噛み締めながら読み進めますので、時に読むペースが進まないこともあります。後者は、サクサク読めます。

どちらが良いとかではありませんが「スマホを落としただけなのに」は、小難しい表現はなく、ネットに親しむ現代人なら簡単に理解出来る文章で構成されている上に、とてもサクサクした展開に、読み始めると最後、一気に読了してしまうでしょう。

レビューの別れ具合は!?

ネットリテラシーによって評価が別れている点と、ミステリーとしてどうかという点が多く評価されているようです。

ネットリテラシーの評価とは!?

フェイスブックがメインツールである事

SNSのメインツールがフェイスブックであることに違和感を主張する方もいます。
現代でいうと、Instagramの方が勢いがあるように感じますが、利用者数は圧倒的にフェイスブックですし、今やビジネスマンとして名刺代わりとも言えるほどアカウントに信頼性がある事に対し、簡単に複数アカウントを所得出来てしまうTwitterやInstagramはまだまだ趣味の域を出ません(一部のインフルエンサーは除きますが)。
そういう意味では、それら特性を理解していれば自ずと、フェイスブックはまだまだ古くなったToolでは無いので、メインとされているのは納得です。

スマホの特性やネットの闇について

素人でも知っている内容や、専門的な用語も織り交ぜて出てきます。それらの解説は、煩わしいと感じる人や、反対に浅い、誰でも知ってると感じる方もいるようです。
とは言え、物語を楽しむ物で、専門書ではありませんのであまりに文字数を割く事ではありません。
しかし、何の説明も無くてはあまりにもリアリティにかけますから、丁度よい配分です。

ミステリーとしてどうなのか!?

ミステリーには二種類あります「犯人が最初から分かっている」と「犯人が分かっていない」の、ちょうどコナンと金田一少年の違いですね。
本書は、前者です。

なので、そもそも犯人当ての要素がありません。敢えて言うならば「それくらい分かっているよ」と優越感に浸るくらいです。

じゃあ、犯人が分かっていてどこがミステリーなのか!?と言うと、あるんです。読み終わって見るとなるほどそうなのかと思う点がいくつもでてきます。

刑事の捜査手法が荒い!?

これに関しては、本格的な刑事ドラマでも現実とはかけ離れていますから、あまり気にすることは無いでしょう。と言いますのも、本書は犯人は最初から分かっていますので、刑事の捜査は脇役的な位置づけだからです。

登場人物の魅力

A(本名不詳)
稲葉麻美
富田誠

基本的には主要人物はこの三人です。しかしこの設定もよくよく考えてみると中々に面白いです。

外見上の描写がほとんどない

小説によっては、髪、目、肌、メイク、ファッションなどなど細かく描写され、なんとなくメージを構築出来ますが、本性は外見上の描写がほとんどありません。あったとしても、外見をイメージするためではなく、必要最低限の情報といったところです。

良く言えば、まっさらな人物像に自分の想像力を働かせることが出来ます。

稲葉麻美のキャラ

不思議なキャラです。富田誠と並んで、ちょっと間抜けです。
でも、どこにでも居そうな感じの女性です。「外見が飛び抜けて美しい」というのはAの主観なので、様々な本書の情報から個人的に想像すると、大人になって非常に魅力的な女性となったが、結婚も焦るアラサー派遣OLです。元来の飛び抜けた美少女で中高生時代から芸能人になるしかないクラスのルックスではない感じです。

だけど、ミステリー小説のメイン人物ですから、ちょっと間抜けな美人さんにも隠された秘密もあります。

ヒロインの絶妙な立ち位置と描写はかなり面白いです。読んでみて彼女の評価は人によって分かれるのではないでしょうか。

富田誠

多分、なんだかいけ好かない登場人物です。特に、美人を彼女にするニヤついた男ですから・・・男性読者にとっても敵みたいな男です。

だけど、終始一徹、間抜けな男で『誠』という名の通り、誠実で底なしの優しさを発揮する人物なのです。
この話のオチも、彼のその性質がそのまま反映されています。

なので、物語を読み終わってみて、いけ好かない男という評価は変わっていないといけないんですが・・・複雑な自分の心理を知る事ができる面白い立ち位置の登場人物です。

批判的にレビューするとすれば!?

わざわざそんな事を書く必要もありませんが、いい言葉ばかり書いていると怪しい感想文になりますので、敢えて批判的な意見を出しますと。

素人っぽい文章になっています。そのあたりが、そのまま当書の批判的なレビュー、ミステリーが甘い、警察の捜査がずさん、文章が・・・となっているのですが、確かに終わってみても生きていない伏線もありますし、誰にでも書けそうな言葉使いで構成されています。

え!?じゃあ、私が小説を書くことが出来て、賞を取ることが出来て、映画化されるのか!?そんな事はありません。

敢えて批判した内容は、裏を返せば読みやすい、特にライトなユーザーも取り込むことが出来る一冊になっています。

言葉の一つ一つを噛み締めたり、詩として楽しむのではなくて、とにかく展開が楽しいですね。

続編


 

恥ずかしながら、私はこの小説の続編がある事を、今、記事を書きながら情報を収集していて知りました。

そして、今すぐにでも読みたい気分に駆られております。
Amazonで注文しても、2日後位になるので・・・待ちきれない・・・いや、分かっているんですきっとKindleで読める事を・・・

だけど、もう夜の23時、今から読み始めると二時間で終わるとしても深夜の1時。
早いときは20時には寝る私にとっては無理な夜ふかしです。

そう、読み始めると無理してでも最後まで読み進めてしまう事は分かっているのです。

ホームページを作ろうの目次
関連記事