読書

『ギャンブルで勝ち続ける科学者たち~完全無欠の賭け』著・アダム・クチャルスキー 訳・柴田裕之 読書感想文


日本で出来るギャンブルと言われるものはしない私ですが、なぜこの様な書を手にとったかと言いますと、人と人との駆け引きが行われるゲームはとても好きだからです。

とは言いましても、日本では『ギャンブル』と言えば、パチンコが一番メジャーなのでしょうか!?

ちょうど、2020年新型コロナウイルス自粛の要請に答えるとか答えないとかで、パチンコプレーヤーの行動に注目が集まっております。

最古の商売として上げられるのが、性風俗とギャンブルです。古代では占いによって政治が行われていました事からも『博打』は本来人間の本能に非常に近しいと言えます。

また、社会を形成する上で、『統計学』は古来からありましたが、兄弟のような『確率』の歴史は浅く、ギャンブルに取り組む科学者によって始まったことは有名です。

高学な彼らが博打に狂っていたかどうかは分かりませんが、『科学の対象』として非常に奥深い数学である『確率』を研究するに当っては『ギャンブル』が彼らの興味を引き続けている事は間違いありません。

ねこみかんの私見

ねこみかん
ねこみかん
まずは書評ではなく、私の私見から入ります。

 

パチンコは『科学の対象となり得るギャンブルなのか?』

残念ながら、パチンコに置いてはさほど複雑な数学が組み込まれているとは言えません。科学者が人生をかけるほどの難しい定理が隠れているとも思えませんし、機械相手であるゆえに、心理学的な要因も皆無です。

『ギャンブル』は、基本的な数理と『心理学』により成り立つ

例えば、日本の伝統的な丁半博打では、剛力は賽の目を自在に出せることを前提に、どういう目を出すかを読み合う勝負と言われています。

ポーカーなどは、もっと心理戦の勝負ですね。

ウォーレン・バフェット氏はこの様な言葉を残しております。
「ポーカーを始めて、30分経っても誰がカモか分からなければ貴方がカモだ」
欧米では、カジノが合法なので『紳士のたしなみ』とも言われています。日本では、自制心のギャンブル中毒者がパチンコに足を運びますが、本場では自制心を鍛えるためにプレイしているのかもしれません。

パチンコはこう言われています。
「愚か者にだけ課される税金である」

日本では、心理戦の様相を残していないパチンコが主流ですから、やはり日本人がカジノ行くとカモにされるでしょう。

日本のギャンブルって

まず、パチンコは上記の通りです。
そして競馬、これは配当を計算することによって一財産を築いたという話もありますし、大きく稼ぐこともあります。
が、早い馬は早く、優れた騎手は『良い馬に乗せてもらえる営業力』を持っている騎手だと言われています。
数理的な要素は多きくとも、人間的心理の入る要素は少ないと思います。

競輪は、人が運転しますから「地元の先輩のために風除けになる」「優勝を譲る」などという駆け引きがあることを想定した上で、結果予想につなげると言われていますので、心理戦に近くなってきますね。

しかし、人対人の心理戦とは言い難い部分はあります。

麻雀というゲームもありますが、こちらも現在の日本では低レートであれば事実上容認されています。麻雀は非常に心理戦の要素が大きく、そういった駆け引きを楽しむには向いているでしょう。

今後、『カジノ』が日本に入ってきて、日本人がどれほどカモにされるかは心配ですが・・・今回題材にしている様な書籍で欧米の『ギャンブル』の事を少しでも知っておくと良いかも知れませんね

日本人はギャンブルが弱い?

答えは持っておりませんが、海外の様にカードゲームで億を手にするプレーヤはいませんし、日本では科学者が研究対象にする対象でもありません。

現にFX(これは多くの人にとってギャンブルでしかない)は、海外口座に比べ、日本だけはどんどんとレバレッジが下げられていますね。
これは、日本人は2分の1のギャンブルに弱いからに違いありません。

ちなみにギャンブルとは、ゲーム性が単純である程心理戦の要素が大きくなると言われています。

和製博打で言うと丁半博打、海外のギャンブルで言うとバカラがそれに当たりますね。
ついでに言うと、FXとはまさに2分の1のギャンブルでありますから非常にリスキーです。

書評

前置きが長くなりましたが、『ギャンブルで勝ち続ける科学者たち』という表題をしっくりと受け入れられる方が少ないかと思い、パチンコ必勝法などとは違い、『科学の本』であると分かってほしかったのです。

結論からお伝えしますと、この本を読んだからギャンブルに勝てるという要素はほんの少ししかないでしょう。

しかしながら、日本でもカジノが実装される事や、ギャンブルとは『数理、統計』であり『心理学』であり、それらは株式投資や実際のビジネスにも役立つ事を意識しながら読むととても面白いです。

本には難易度があり、分野ごとに自分にあった書を選ぶことが重要ですが、私にとってこの書はレベルが高い書でありました。

それも当然で、アメリカの一流大学で学び、科学者になった方たちが使う公式を私が理解できるはずもなく・・・その様なところはサーっと読み飛ばしてしまいました。

その中から、あまり専門的でない部分をピックアップしていきます。

序章

冒頭では、非常に簡単な内容でとても取り付きやすい内容から述べれれている。
まず、『ギャンブル必勝法がもつ魅力』というのが第一のお題です。
例えば、「マーケティングゲール」は皆さんは御存知でしょうか?

最初は、1,000通貨賭け、負けると2,000通貨、また負けると4,000通貨・・・という手法はきっと誰もが思いつき何かで試したことはあるのではないでしょうか。

これは、『確率』という概念がない頃に考案され、研究されていましてその詳細も書いています。

そういえば、FXの指南本でこの『マーケティングゲール』の手法(その単語は出てこなかったが)を自身が考案したかのように紹介していた本がありました。残念ながら、現代では出版されている本の内容でさえ懐疑の目で見なければならない時代です。

ともあれ、数学者のリチャード・エプスタイン曰く
「ギャンブラーには確率論の生みの親を名乗る権利がある」
というのは実に的を得ています。

序章を読んだだけでも、ギャンブルとはどういうものなのか?それを研究するっていうことはどういうことなのかが分かります。

 

物理学とギャンブル

そして、物理学もギャンブルの研究に役立ちました。それは『ルーレット』の研究です、発射速度や摩擦、そして台の特性などから偏りを見つけていくような手法です。
次には統計学によって『宝くじ』を攻略していった科学者の話です。

科学者が、ゲームを攻略することもあり『シンジケート』の実在を知ることが出来ます。

ギャンブルに必勝法なんて無い、という事を真実だと私は信じておりましたが、歴史を見るとそんな事はなく、様々なゲームが産み出されては攻略されていっていたのですね。

株やFX

株やFXをギャンブルと捉える事は反対の人もいらっしゃるでしょうけれど、株はともかくFXは非常にギャンブル性が強いです。
情勢がなんとかと言いますが、結局はどちらに動くか分からないのが相場ですから。
しかし『テクニカル分析』や『トレード手法』などでチャートを分析している方も多くいますが、私自身はそれらの分析には懐疑的な目で見ております。
特に最近はTwitterをよく見ていますので、FX投資をしている方の手法を見ていると、ただただ怪しい(笑)と感じてしまいます。

『ギャンブルで勝ち続ける科学者たち』がそういった眉唾ものの書籍かと言うとそんな事はありません、科学者は実に長い年月をかけ、物事を研究していきます。実ることもあれば、実らないこともありますし、長らく世間に認められなこともあります。私達は、その研究の軌跡のほんの少しだけしか知ることは出来ませんが・・・この書でも科学者たちの研究の軌跡をみて思うこと・・・「私には到底真似出来ない・・・」という事です。

スポーツとギャンブル

競馬にも研究は及びますし、スポーツベッティンブ、サッカーの賭けなども分析されます。
それによると、チームの戦力を数値化し、これまでの統計などからも、様々な要因を足し引きし点を取る確率を算出しどちらが勝つかを予想します。

今でこそ、スポーツを科学することは当たりまえになりましたが、当のスポーツ業界が精神論やアナログの世界であったことから科学者たちは研究をし、現代スポーツの土台を作ったことは間違いありません。

ボット

ある段階以降は『ボット』の存在感が大きくなる、プログラミングによって機械が賭けを行います。ロボットベッティングでありますが、この話は1900年代後半の話なのですね。
いったいどれほどの方がボットの存在を意識することが出来たでしょうか。

もちろんロボットベッティングは、相場の世界にも進出してきます。FXの自動取引ツールやAIなどが一般の方の目に触れ、実行出来るようになってきたのは近年ですが、その土台は数十年も前から整えられていたのですね。

心理学

その後は、『ポーカー』などの心理の研究に移っていきます。私個人的には、こういった心理がとても好きで、これらの事柄はそのまま現代の相場取引に当てはまります。
どうして損切りできないか、どうしてそんな事を考えるか、根本的に多くの人がカモになるのはどうしてか?それらは、相場に起因しているのでもなく、相手に起因しているわけでもありません(トランプや麻雀の様に限られた相手がいるわけではありませんから)、ひたすら負ける自分の心理を見つめていかなければなりません。

自分の心理を見つめることは、私生活全般に役立ちます。

どうしてパチンコ止められない

コロナ自粛の最中。パチンコに行くのがやめれない人は少しでも自分の心理を知る努力をした方が良いかも知れませんね。
とは言いましても、私は中途半端な自粛要請の最中、パチンコに行く人が多いことは仕方が無いことだと考えていますが、仮に彼らが依存症であるとしたら開いている限りはお店に向かうことを阻止することは不可能なので、そのような事を知っていれば達観するしか無く、『パチンコけしからん』なんて騒いでいる方々の行動がいかに不毛かが分かります。
この様な依存症の治療が難しいのは『それ自体が本人にとっては快楽だからそもそも治療したくない』訳です。身体を蝕む病気とは全く違い事を知って置かなければなりません。

司法とギャンブル

賭博でありますから、司法と対立することもあります。
P344ページからになりますが、とても興味深い事が書いています。
ギャンブルの勝者は『運』が決めるのか『技能』が決めるのか?例えば将棋などのゲームであれば技能の要素によって勝敗は決定しますね。アマがプロに勝つことはありませんから、麻雀などはどうでしょう。これは『運』という人もいれば『技能』という人もいます。

アメリカの司法で争われたのは、まさにその部分、運による部分に大金を欠けるのは賭博だが、技能によるゲームにお金をかけるのは違法では無いということです。

日本でいうと、射幸性を煽るとかなんとかってやつですね。スポーツや、将棋などに高額な賞金がかかっていても違法にはなりませんが、パチンコやマージャンは一定の範囲の掛け金を越えると捜査対象とされます。

和風のゲームで説明したのが上記でありますが、当初の扱うアメリカだとゲームの対象はこうなります。

ルーレットは純粋な運の例として扱われる事が多いので、運の箱に入るかも知れない。チェスはスキルのみを頼りにしていると考える人が多いゲームなので、スキルの箱に入るかもしれない。だが、事はそう単純ではない。そもそも私達がランダムに等しいと思っているプロセスは、たいていランダムには程遠いのだ。

ルーレットは、ランダム性の極みと一般に思われているにもかかわらず、まず統計学に、その物理学にも打ち負かされた。他のゲームも科学の手に落ちた。

~中略~

だが、ロスアラモスで水素爆弾を開発したスタニスワフ・ウラムによると、このようなゲームにスキルが関わっているのは必ずしも明白ではないようだ~~~

ともあれ、検察がルーレットやポーカーはランダムであるから違法賭博に当たるとしました。が、科学者は『ポーカーの勝者は技能によって勝利する』事を証明する事により、ランダム性が支配する違法賭博ではないと主張する必要がありました。

この部分は、読み物としても非常に面白く、また科学者たちは非常に勤勉なのでそれに派生し『時流に乗って大儲けした起業家』『急に世間の関心を集めた人』『書いた本が瞬く間にベストセラーになった新人作家』『一夜で有名になった音楽バンド』それらは、ランダムなのか(つまり運)実力なのか?

それらを証明することは非常に難しいが、検証の結果も示されています。

また

スキルのないファンドマネージャーが運営するファンドを考えてみてほしい。たんなる偶然でもまずますの利益を生み出し、それによって投資家が集まる場合もあれば、運用成績の悪いファンドが閉鎖し、姿を消す場合もある。
人は損属しているファンドのランキング結果を見てみると、概して、これらのファンドはファンドマネージャーに何らかのスキルがあると考えるだろう。

運とスキルの境界性、そしてギャンブルと投資の境界線は私達が考えているほど明確なことはめったにない。

これは、現代のシステムトレードの結果や、投資信託でさえこのような事象は発生しているように思えます。あまりにも運用成績が良いものは、ただただ偶然であると考えても良いでしょう。

なぜギャンブルがこれほどまでの科学者を惹きつけるか!?

書も終盤に差し掛かり、なぜかが書かれています。それは読んで納得でした。
『ギャンブル』と聞くと悪い印象を持つ日本人も少なくはありませんが、人間心理や数理的にもとても真理だと思える、科学者たちの残した文言は心に残ります。

著者の表現にこのようなものがありました。

人が賭け事が嫌いだというとき、それが通常意味しているのは、ギャンブル業界嫌いだと言うことだ。両者は関係はあるが、けっして同じではない。

ちょうど、コロナでパチンコ業界が叩かれる中、叩く側の真理が非常に分かります。
結局、彼らは『コロナの時期にパチンコに行っている人』を責めているのではなく、『そもそも博打打ちや、パチンコ業界が嫌い』で、この叩きやすい時期にこれ見よがしに出しゃばっているに過ぎません。

『ギャンブルの科学的研究が確率を産み出した』

という事は事実で、日本では科学的考察の価値の少ないパチンコが主流なのでギャンブルに対するイメージは低いですが、研究対象となったギャンブル科学が現代の私達の生活に大きな恩恵をもたらしていることに間違いはありません。

保険、天気予報、医療、コロナに置いても感染率云々と確率が社会を支配していると言っても過言では無いくらいです。

科学とギャンブルの関係は今日でも発展し続けている。あいかわらずさまざまなアイデアが両者の間を行き交っている。

巻末にはそれらの具体的な例が紹介されています。


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